新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて日本の多くの企業でもリモートワークが急速に進んだのではないだろうか。また、新しい働き方が浸透し始めたきっかけとなり、特に女性の働き方に大きなチャンスをもたらすのではないか。女性だからこそ社会的危機の中で輝ける本能とは。

地域活性に繋がることとなった女性ならではの商品開発についての共有や意見交換を行うイベント、「女性のはたらく× 地方創生※オンライン参加可」が、2020年6月21日に開催された。

【内  容】

一部:女性のライフプランと多様なはたらき方(with コロナ社会における変化等) 

二部:今回のフルーツ甘酒紹介と商品開発に至るまで(女性視点の商品開発)

三部:各所のお困りごと解決×地域活性(女性のはたらく×地方創生)

 

イベントでは、姫路ふるさと大使であり第一生命グループに勤める松尾礼さん、社会保険労務士として多方面で活躍されている角田七尾さんが特別ゲストとして招かれ、自身の経験も踏まえ女性起業家としての目線で登壇。

オンラインとリアルを混合した開催となり、角田さんは滋賀よりオンライン参加登壇といった新しい形。(HAri woMAn主催、後援 姫路市)

※HAri woMAnとは?

播磨に「住む・はたらく・共に育む」をテーマに女性活躍を応援する団体。また女性視点のモノづくり、コトづくり、組織づくり、まちづくりのお手伝いをしている。)https://peraichi.com/landing_pages/view/hariwoman

 

この記事では、イベントの内容について少しお届けしたい。コロナ渦中で生まれた商品とは?女性が更に輝く社会がどうしてコロナ危機を経て実現されるのだろうか?

 

きっかけはコロナによる経済危機

飲む点滴と呼ばれる甘酒。今回商品開発されたのは「フルーツ甘酒」と言われる子どもからお年寄りまでが飲みやすい甘酒。何だかおしゃれで健康に良さそうな印象。

製造元は食品衛生デザインオフィス。

中小企業または小規模の食品製造会社を顧客とした製造工程および商品開発のサポートを生業とした兵庫県加西市の企業だ。

イベントでは代表取締役 西村章さんも参加され商品開発に至るまでのストーリーも紹介された。結婚式場と土産物屋が主な取引先であったのだが、コロナ危機によって売上が大きく減少し一時は倒産の危機も感じたという。

そんな中出来た新たな商品が今回販売されることになったフルーツ甘酒だ。イベントでは代表取締役 西村章さんも参加され、商品開発に至るまでのストーリーも紹介された。結婚式場と土産物屋が主な取引先であったのだが、コロナ危機によって売上が大きく減少し一時は倒産の危機も感じたという。

  

地元食材を使った商品が地元企業の新しい勝ち筋を提供

姫路名産の生姜を使った商品を販売するヒメジンジャーでの会話の中から生まれたアイディアだった。

生姜を使った甘酒をヒメジンジャーと製造されていた西村さん。「兵庫県の農産物を使った甘酒を作れないか?」と、ヒメジンジャーオーナーであり株式会社AddVenture代表である八木有加さんからの言葉もあり動き出した。

西村さんがたまたまトマト甘酒を製造していたこと、またトマト農家さんの悩みがかけ合わさったことで、商品開発は大きく進展することとなる。

そのトマト農家さんこそ岡田農園株式会社を運営する岡田美香さんだ。「生産したトマトを消費しきれない時期の販売先をどうすれば良いか?」という悩みをもち、姫路市主催の勉強会「はりらぼ」に参加されていた。

それぞれの課題がかけ合わさり一気に商品化されたトマト甘酒は、2020年6月21日からボンマルシェにて販売開始となった。

参加者の一人でもあり HARIwoMAnのメンバーでもある福岡加奈さんからは、「行き場をなくした訳あり初、甘酒を4月にSNS発信した後に多くのママ友や他府県の方々から支持をもらいました。2日間で60袋売れたんです。」というリアルな市場意見もあり、会場では注目が集まった。

またその後も、ご縁がご縁を呼ぶ展開に。

ボンマルシェの愛情テイクアウトの企画がきっかけで八木さんとボンマルシェの大塚さんが女性目線の商品開発による地域活性化に意気投合し、ボンマルシェのバイヤーと打ち合わせ。1か月足らずで商品化され今回6月21日よりボンマルシェ全店にて販売開始されたのだ。

「今後も季節に応じて様々なフレーバーを生産・販売していきたい。コロナを通じて健康や抵抗力への目線も高まる中でもあると思うので、そういった商品も作っていきたい。」と西村さんから意気込みも。

ボンマルシェを運営する株式会社銀ビルストアー取締役執行役員の大塚兼史さんからは、「生産者の愛が詰まった甘酒をぜひ消費者の皆様に届けていきたい。そしてこれをきっかけにさらに会社として地方創生やSDGsに向けて頑張っていきたい。」という地場企業リーダーとしての前向きなご意見もあった。

はりらぼ:https://harimabrand.jp/

株式会社銀ビルストアー:http://www.ginbiru-store.co.jp/

愛情テイクアウト:地元飲食店様と協働しテイクアウトの売場を展開

山田錦:通常の嗜食用のお米はたんぱく質の含有量が多く甘酒に向かない。山田錦のお米は嗜食用のお米には向かないがたんぱく質含有量が少ないため甘酒や日本酒にしやすい。

 

デザインは女性視点から。ターゲットはスーパーマーケットで買い物をする主婦だからこそ女性目線のマーケティングを

パッケージは女性目線で設計。主婦ならではの甘酒使用レシピも掲載されているとのことが特徴だ。

甘酒=飲むものという認識が強いが、カレーの隠し味にしたり、黒豆甘酒はお菓子に使ったり、生姜甘酒は生姜焼きの味付けとしても美味しいという意見もイベントでは取り上げられていた。

結婚、子育て、主婦を経験された女性だからこそブラッシュアップできた商品設計であり、ターゲットニーズを自然と深堀りした痒い所に手が届く商品となっている。

  

明治維新以来の産業革命。女性にとって大きなチャンス

ここまでコロナ渦中で起こった女性たちの知恵・視点を生かした商品ストーリーをお届けしたが、筆者がイベントの中で最も気になったフレーズを紹介したい。

それは「この状況は明治維新以来の大きな産業構造の変化・改革の時。そんな中で大きく活躍できるのは女性なんです。」という角田七尾さんの言葉。

なんだかとてもワクワクを感じた。

今回のイベントでは、オンライン参加者が何名かいらっしゃった。

イベントの参加・運営の形も自由になっていて、女性が情報収集したり勉強会に参加する敷居が非常に低くなってきたのではないかと思う。

仕事においても、出社が必須条件ではなく在宅でも勤務ができると認識を改めるきっかけになった企業も多いのではないか。

「女性が本能的に持つ共感能力・適応能力は今こそ生かされる時なんです。」と言う角田さんは、自身でも外出自粛中に主婦経験を生かした料理動画をSNSに投稿するビジネスをスタートさせたという。

 

最後に、「皆さんにとって『はたらく』とは。」という投げかけの中で出ていた様々な意見を紹介したい。

 

オンラインで参加されていた、今回の甘酒デザインをされた児玉さん

‐「専業主婦だがキャリアとしてのキャリアアップではなく、子育て=親育てを通じて人間としてのレベルアップをしている時期なのかなと思っている。次のキャリアアップをイメージしたり、オンラインイベントで色んな視点を見つけていきたい。」

 

岡田農園株式会社・岡田美香さん

‐「自分らしく生きるために必要なもの。」

田んぼもないところから農家の嫁として嫁いだが、その中で自分らしくあるためにはどんな仕事ができるかを選んできた。

 

第一フロンティア生命・松尾礼さん

‐「働くとはマイナスからの局面からのチャンス。」

「女性だから」こそ経験した出産や主婦をしていた時期に得たことが今非常に生きている。「女性だから」がマイナスな意見として続くのではなく、「女性だからこそ」という観点が大事。

 

【編集後記】

「事変」とは「事が変わる」こと。

新型コロナウイルス感染拡大という大きな出来事が世の中の動きを変えるチャンスとなり、女性一人ひとりが自分の中での「はたらく」の定義を見出せる世の中作りが大事なのではないか。

また、子育てをする女性や地域に住む女性だからこそ見える生活の負や課題解決ができる知恵を持っていて、それを生かすことが地方創生の大きな一歩になるのではないかと考えたイベントだった。