前編では、Himeginger発足の経緯について伺いました。後編では、ジンジャーケーキの販売およびカフェの運営を通じて、下津さんが実現したい世界観について伺います。

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「姫路を良くしていきたい」という想いが根底に流れていた

金治:今年3月のジンジャーケーキの“差し入れ”の後、6月に姫路生姜研究所発足、7月2日にカフェHimegingerオープンと、そのスピード感に特に驚かされるのですが、どんな風にスタッフの役割分担をされていらっしゃったのでしょうか。

下津:明確に「〇〇さんは▢▢担当」というような取り決めや役割分担をしたわけではありませんでした。役割を考える余地のないほどテンポ良く進んだので、自然と身体が動いた、という感じでしょうか。

金治:“テンポ良く”とは、具体的にはどんな雰囲気だったのですか。

下津:誰かに何かを頼まれた記憶は全くなくて、それぞれのスタッフがそれぞれの得意分野を担う、という雰囲気でしたね。「私それ得意だから任せて~」と、全員が率先して動いていました。発足から5ヶ月経った今もそうですが、スタッフ一人一人が自分の役割を認識し、自主的に取り組んでいます。今思えば、同じスピードで、同じ目標に向かって進めるスタッフがこれだけ集まったこと自体、奇跡だったと思います。

金治:素晴らしい結束力ですね。得意なことを活かしながら、スタッフ全員が同じ方向を向いてスピーディーにプロジェクトを進めることができたのは、なぜだったと思われますか。

下津:根底に流れていた想いが同じだったんだと思います。

「もっと姫路を良くしていきたい」「もっと姫路を発信していきたい」という想いをスタッフ全員が持っていて、お互いがその臭いを嗅ぎつけた感じですかね(笑)

想いが一致していたので、綿密に打ち合わせしなくても自然と同じ方向を向いて進めました。それぞれの人生の背景に、 “姫路愛”があったんだと思います。

 

人と人とのちょうど良い繋がりが残っているまち

金治:そうなんですね~。“姫路愛”、素敵ですね。ところで、下津さんはどうしてそこまで姫路を好きになったのですか。

下津:地元は福崎町で、結婚して飾磨に引っ越してきたんですが、今では飾磨の住みやすさに惚れ込んでいます。Himegingerカフェをオープンするときも、飾磨だったからあれだけ身体が動いたのかもしれません。なんだか運命を感じたんですよね(笑)。

金治:そこまで好きになるってすごいですね(笑)。飾磨のどんなところに“過ごしやすい”と感じましたか。

下津:一言で表現すると、「都会なのに田舎っぽいところ」でしょうか。

福崎町出身の私から見ると、姫路は都会だと感じます。一般的には都会になればなるほど人間関係が希薄になるけれど、飾磨には実家の福崎町にも似た“密な関わり合い”が残っているんですよね。そこが過ごしやすいと思いました。特に、子育てを通じて素敵な思い出がたくさんできましたね。

下津:子どもが幼い頃、子育てに手がかかった時期は近所の友人達にたくさん助けてもらいました。また小学生になってからは、秋祭りや子ども会のソフトボールなどを通して自然と地域交流できましたね。人と人とが交わって多世代交流できる場がたくさんあり、そういう場で知り合った近所のご年配の方から、飴ちゃんをもらったりもしました(笑)。家族以外の人とナナメの関係で触れ合う経験は、子ども達の人格形成にも良い影響を及ぼしていると感じます。

都会ではこういった地域の繋がりが希薄になっていますが、飾磨には、良い意味で希薄ではない人間関係が残っているんですよね。近所の人が気にしてくれている感じ、なんとなく下町な雰囲気が残っているところがちょうど良いですね。子育てを通じて色々なことがありましたが、困ったときは必ず誰かが助けてくれました。人に恵まれたまちだなぁ、と思います

 

周りの人に喜んでもえるのが好き

金治:下津さんは、ご自宅でお料理教室も開催されていらっしゃいますね。お料理は昔から好きだったのでしょうか。

下津:お料理はむしろ嫌いなんです(笑)。お料理が嫌いだからこそ、いかに簡単に、おいしく、身体によいものを作れるかを探求しているうちに、手間をかけずにおいしい料理を作るのが得意になりました。

金治:「お料理が嫌いだから得意」というのは、一見矛盾しているような気もするのですが(笑)。

下津:そうですよね~でも事実そうなんです(笑)。お料理が好きな人は、何時間でもキッチンに立っていられるでしょう?私はキッチンに長時間立っているのが好きじゃなかった。でも家族には身体に良いものを食べてもらいたかったんですよね。身体は食べたものでしか作られないですから。

金治:ご家族や周りの人の健康ためにお料理を作っている…ということでしょうか。

下津:そうですね。「料理を作る」という行為は好きじゃないんですが、周りの人に喜んでもらえるのがたまらなく好きなんです。お料理教室は、毎日忙しいママさん達が喜んでくださる。ジンジャーケーキは、食べてくださったお客様が喜んでくださる。そういう人達の笑顔を見るのが大好きなので、嫌いなはずのお料理も全く苦にならないんです。私にとってお料理は、周りの人々を笑顔にするための手段なのかもしれません。これまで周りの人にたくさん助けてもらってきたからこそ、料理という手段、ジンジャーケーキを通じて、姫路に恩返しできたらと思っています

 

笑顔あふれる居心地の良い場づくりを

金治:最後に、Himegingerを選んでくださる方へのメッセージをお願いします。

下津:ジンジャーケーキを通じて、いつもよりちょっとほっこりしたり、なんとなく会話が弾んだりして、お客様の笑顔が増えたらいいなと思っています。食べてくださるお客様に笑顔になってもらいたい、元気をお届けしたいと思いながら、一つ一つ心を込めて作っています。カフェでは、たくさんしゃべって、たくさん笑って、一緒に羽を伸ばしましょう。

これからも、ほっこり安らげる居心地の良い場づくりを目指してスタッフ一同頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

金治:本日は、ありがとうございました!

(Himegingerのスタッフのみなさん)

 

【インタビューを終えて】

 

幼少期からボランティア活動が好きで、頻繁に児童施設にお手伝いに行っていたという下津さん。お料理が嫌いだからこそ得意になったというエピソードには驚いたが、お話を伺っていると、「喜んでもらえるなら何でもやってしまう」という彼女の本質に触れることができた。下津さんの天性の巻き込まれ力が、ジンジャーケーキ開発の大きな機動力となったことは間違いなさそうだ。

これまで連合PTAなど様々な地域活動にも取り組んでこられ、子育て中はご苦労もあったようだが、周囲に支えてもらえる環境が残っており、「大変なときはいつも人に助けられてきた」と話す朗らかな表情に、日々育児家事に追われる私の心もほっと和らぐようだった。

ご本人も大好きだと言う向日葵のような笑顔に元気をいただくと共に、下津さんのように、姫路に愛着を持ち、地域を良くしたいと思う人々の存在により、まちの繁栄は続いていくのだろうと思った。

姫路生姜研究所のチーム力と、Himegingerブランドの今後の展開に期待したい。

ライター:金治諒子